この図譜においては、掲載こけしの解説や鑑賞に関する文章を一切省き、今こけし掲載のみを中心にした。今さん自身も「取り敢えず、もの(こけし)は残った。これからが勝負です」と言われているように、「今こけしへの評価は、その今こけしに触れ合われた、みなさんがどのように感得されるかであろうか」と思っている。特に、今さんが「津軽の源流を求めて!」として、「津軽の原こけし」を始造された、所謂「本人型こけし」は、現在の狭義的な伝統こけし界を震撼させしめたこけし群である。その本人型こけしに、私は大いに魅了されるものであり、この図譜においてその一部でも、みなさんに紹介できたことを嬉しく思っています。
私とこけしとの出会いは、平成17年4月、妻と土湯温泉を旅し、偶然にも土湯こけしまつりの当日でした。(註2=こけし手帖平成19年4月555号「こけし・工人似顔絵とこけし蒐集」)それから、伝統こけしのなんたることも知らない中、カメイ美術館発行の「こけし工人・最新工人録」を手に、各地の工人さん巡りが始まりました。しかし、工人さんをお訪ねしても、なかなかこけしを入手することが困難な状況でした。たまたま、趣味で描いていた似顔絵、工人さんとその方のこけしを描いた似顔絵をお贈りしながら、300余人の工人方々をお訪ねし、親睦を得ながらこけしを譲って戴いていました。平成20年には、津軽の工人さんを描いた「こけし・工人似顔絵図譜」-青森県編―(註3)として制作発行し、みなさんに無料で頒布させて戴きました。現在、似顔絵は300枚ほど描き終え、600枚ほどになったら全国版「こけし・工人似顔絵図譜」として制作しようと思っています。
なによりも、今晃さんのこけしと巡り会い、今晃さんとの出会い、、、、、、「今晃さんのこけしに魅せられ、今晃さんに惚れた。」ということなのでしょう。「木おぼこ・今晃」の冊子制作など、私の人生において、十二分に楽しまさせていただき、遊ばさせていただき、ありがたく思っています。そして、この様な仕事を成させていただいた今晃さんに、みなさんには感謝を申し上げます。