秋の「坂入ボックス」
今さんから秋の「坂入ボックス」のこけしが届きました。前回の「坂入ボックス」から2ヶ月です。今回は二人挽きロクロ作から、大舘での初めての機械ロクロ作もありました。多兵衛型にはロクロ模様に少しフリーハンドの模様が描かれています。また、私の好きな本人型が数本あり、嬉しいですネ。大舘で、新たな境地での大舘時代がはじまるようです。
こけし署名は、大舘に移住されてから、大舘初作の二人挽きロクロ作は「大舘晃」です。今回の機械ロクロ製作の大舘初作は、特徴のある署名「晃」になっています。嶽時代の署名「晃」は草書体でしたが、大舘での新たなる出立を署名でも表出されています。(今さんは、新たなる環境や心境の変化において、こけし署名もそれにあわせて替えてこられました。それらは今さんのこけし図譜「木おぼこ・今晃」の「こけし署名の変遷」で、各時代時代の署名を紹介しています。)
多兵衛型こけしや本人型こけし、木地玩具などは、各こけし注文者に配慮されて、形態や模様に若干の違ったものを作られます。「木おぼこ・今晃」のP317にある木地玩具、「N096の干支ヘビ」や「N085の干支ウサギ」などは、その例ですネ。その辺が今さんの心憎いところでもあります。
今さんの体調は、下半身の痲痺や痺れに、指はリュウマチ疾患のためか、指関節がかなり固まっており、多くのこけし制作には、まだまだ、体力的には大変なようです。しかしながら、嶽において、機械ロクロや木地を大舘に運んだ後、今冬期は鉈こけしや板絵、丸太を刻んだお雛様を作っておられました。(HPの「坂入ボックス」を参照)そして、手元にあったベアリングや機材で、二人挽きロクロを自ら製作され、奥さんに綱を引いてもらっての「二人挽きロクロ製作こけし」に挑戦されています。そして、大舘においての機械ロクロでの常寸こけし制作も開始されました。その弛まぬこけしへ製作への執着、意欲には、ただただ感服、敬服です。