- 2010年9月28日、ヤフーオークションで、落札した疑惑の長谷川辰雄作アヤメ裏模様こけしと今さんに作っていただいたその写しこけし(2011年1月作・今晃こけし図譜「木おぼこ・今晃」G148番)です。商品紹介には「長谷川辰雄16年作、退色もなく美品、8寸」(こけし底には、鉛筆書きで「長谷川辰雄 昭和十六年」)とありました。このこけしがHP「kokeshi」の「こけし談話室・訪問ノート」で、加筆、上書きして「辰雄作アヤメ裏模様とは笑止!」と、この出品者の一連の疑惑こけしを紹介し、その真贋を指摘していました。(現在、HPは閉鎖されています。
- ・ヤフオクで退色した盛秀や戦前~30年代の物の画像をPCにコピーし、チェックすると必ずと言って良いほど数日後に色がついて出品されます。
・作者には描く順序・筆の強弱等、人それぞれの癖がありますが、このこけしに描かれた「アヤメ」模様(下の写真真ん中)は辰雄が描く「アヤメ」ではないのです。右下写真のアヤメが辰雄の描くアヤメ模様(「らっこコレクション521番」)です。そして鉛筆で年月日などを加筆しています。ここでは「昭和16年」と加筆されていますが、16年頃の辰雄は、こけしは作っていなく、昭和22年頃に下北郡大畑に移住し、こけし製作は昭和40年代に入ってからです。
今さんに「辰雄作アヤメ裏模様こけし」の話をしたら、現物が見たいとのことで持参をした。今晃さん曰く、「もとは、木地挽きは金一郎で、辰雄描彩こけしであったであろう。しかし、昭和16年作ではなく、40年代以降の作である。あのような太い線の重ね菊模様は初めて見た。辰雄さんのアヤメ裏模様のこけしは見たことはない。アヤメ模様も、筆使いは辰雄とは違う。辰雄さんが洒落で、裏模様にアヤメを描いたか、描かなかったかは、本人(辰雄さん)しか知らない。)」とのことでした。そして、そのこけしの写しを6本ほど作っていただきました。
この贋作者はアヤメ裏模様描彩に、筆先を使い流れるように描いていますが、胴の重ね菊模様は、辰雄さんや今さんとまったく筆さばきや筆の流れが違っています。何か、サインペンで描いたような筆太になっています。
「こけし千夜一夜物語464話」では、「疑惑のこけし」(再び)と表題として、ヤフオクなどにおけるこけしの贋作や描き直しての出品問題を取り上げられています。
「盛秀こけしの改変・ヤフオク出品」
退色した盛秀こけしをヤフオクで落札し、加筆、描き直してヤフオクに再出品(黒いバック画面のこけし)されている。ボタン模様をダルマ模様に描き替え、署名の「元祖」を消し、鉛筆で昭和24年と加筆して、古く見せている。しかし、温湯の黒石市編入は29年で、矛盾している。
褪色したこけしを修復、加筆して、個人で楽しむ分には、問題はないのかもしれないが(これも独り歩きをし出す!)ヤフオクなどを利用した高額販売を目的とした、詐欺行為も蔓延っているようです。この方は小椋久太郎、高橋忠蔵、奥瀬鉄則作こけしなどいろいろな工人作のこけしを改変してヤフオクに出品されています。