10月17日~20日、最後の津軽行でした。17日早朝5時30分出立。9時間運転をしながら、図譜を発行してからのこの半年、各地のこけし行事に全てに参加し、図譜発行やHP立ち上げ案内をしてきた。そして、今さんに初めて出会った「2006年10月18日、夕方、嶽温泉今さん宅に着く。坂道を自転車で下りてくる今さんに出会う。お互い似顔絵で顔見知り『今さんですか?』『坂入さん?」』いうことになり工房におじゃまする事(『2006年こけし蒐集・津軽の旅』参照)」に、桑原金作さんに出会い、今こけしを譲っていただいた事(「こけし手帖596号「桑原コレクション・今晃こけし群を引き継ぐ」参照)などなどが、今までのいろいろな思いが走馬燈のように浮かんでくる。
岩手山パーキングで懐かしの盛岡冷麺を食べていると、吉紀さん真由美さんご夫妻と仁美さん、輝幸君に康広君一行と出会う。「なんだや!坂入さんに似合わない美人でスタイルのイイ奥さん!」と、豪快にラーメンを食べている仁美さんや真由美さんを見て、ニヤリ?です。
津軽こけし館に直行し、さっそく「今晃の世界」展を拝見、ちょうど到着した「こけし時代11号・続津軽」(別冊付録「今晃の世界」)を購入する。そこには、斉藤さんや安達さん、そして、沼田さんの世界も展開をしているようです。
今まで知らなかったのだが、こけし館から30分ほどで、酸ヶ湯温泉なのである。かあちゃんの温泉三昧サービスで入浴、さすが八甲田山の紅葉はすばらしい!千人風呂は硫黄泉で、湯船の木肌に染み込み、体にも浸みる。立ち上る湯霞の混浴は、これまたイイ!
翌日(18日)、小雨降るこけし館の前には30~40人ほどが並んでいましたが、期待の美津雄さんのこけしは1本もできていない!山田店長さんが前もって用意されていた1本が抽選された。私はこけし館前で案内パンフを配布しながら、終日を過ごすが、さすが津軽で、Tシャツ一枚では、体が震える。妻はこけしに興味関心はなく、懇親会まで、弘前城や嶽・湯治場の百沢温泉巡りである。(こけし工人フェステバルの様子は、他の方々がブログ等で紹介されていますので、ここでは省略します。)
本田功さんにお会いし、今さんの様子をお話すると、涙ぐみながら「心配をしていた。今には数十年会っていない。会いたい!」と、宇都宮から5万円の軽自動車で10時間も掛かって津軽にこられたとのこと。また、吉田勝範さんも「帰りに、今さんに会に行く!」と、心配をされておられた。(鳴子の修業時代、今さんと勝範さん、松谷伸吉さんは他県人出身ということで、親交を深めておられた。その松谷さんは、今さんを心配されて、出雲から三輪オートバイに乗って、訪ねられた。)
後藤客舎は、目の前が温湯「鶴の湯」で、昔の湯治場の雰囲気ある宿舎でった。夜のトイレは奥まり恐いぐらいで、道を挟んだ鶴の湯のトイレの方が近い。朝4時からの温泉三昧、湯は透明で優しく、体を包んでくれる。
19日は、陳野原さんの大マグロの解体!食いしん坊の私は、マグロ丼に後ろ髪を引かれながら、大舘に向かう。途中、四季彩館で、赤カブ20Kg、リンゴ2箱、青森ニンニク、ホッケ寿司や地の漬け物を購入、今年も自家製の赤カブ漬け、燻りガッッコウを漬けるのが楽しみですネ。
大舘は日曜日なのにシャッターの閉まっている店舗が多い。「比内鶏屋」本店の親子丼と醤油ラーメンを食し、(比内鶏は、秋田駅内の「比内鶏ステーキ」が一番ですヨ。)今さん宅に向かう。在学した高校の校門の真ん前、隣は、神社と「こけし時代11号」の写真風景のとおりである。今さんは、桑原さんご夫妻と数年来の再会を喜び合っていました。大湯温泉の「花海館」まで40分ぐらい、今さん自身も車を運転されてこられました。
大湯温泉の湯も、温湯と同じような透明で、優しい湯です。今さんも久しぶりに入られたようで、汗だくになっての談笑が続きます。「花海館」には、今さんが高校を卒業し、秋田こけし製作所でこけしを作っていた時代、女将さんに懇意にされて以来、40年の付き合いです。その時代時代の今こけし、木地玩具の全てがここにはあります。(玄関入り口や2階ロビーには展示棚、食堂には、写真にあるような2尺や尺5寸、鉈こけしです。)時々、訪ねては、湯に浸り、眺めさせていただいています。今こけしを前にしての夕餉は、これまた格別なのです。今回は、「木おぼこ・今晃」図譜出版記念として、今さんご夫妻と桑原さんご夫妻、私達二人と花海さんご夫妻のささやかな祝宴でした。昨年、今さんの大病からの回復を心から喜び、これからの再起、互いの健康を思い、話は尽きることはなかったです。互いのこの様な出会いに驚きつつも、巡り会いに感謝!感謝でした。桑原さんご夫妻は、「今生の別れ!」のようなお気持ちか、涙ぐんでおられました。
今さん自身は、顔もふっくらされ、いつもの笑顔も戻り、女将さんへの悪態口で、大笑いでした。左足の麻痺には補装具を装着され、一人で歩かれ運転もされていました。最近、機械ロクロで8寸を作られましたが、「かなりシンドかった」とのことでした。「二人ロクロ挽きも、極めてみたい」とこれからの抱負も語られ、大いなる期待です。
20日、八幡平の紅葉を楽しみながらも、何とか、上州高崎に辿り着きました。しかし、はやり、津軽は遠いですネ。これが最後の津軽行かな!
今晃さんのこけしに魅せられ、今晃さんと出会い、そして、ここまで、今晃さんのこけし図譜「木おぼこ・今晃」の出版まできました。図譜を製作、発行、そして販売をしてきて、いろいろな方からご教授をいただいたり、ご協力をいただきました。実際のところ、こけし界やこけし愛好者の現実や実態なども垣間見、意気消沈したこともありましたが、叱咤激励!励まされつつ、みなさんには感謝の気持ちで、一杯です。ありがとうございます。自己満足であれ、ともあれ、今晃さんのこけし図譜「木おぼこ・今晃」は残ったことです。
これからは立ち上げたHP「木おぼこ・今晃」の中で遊び、時間の推移を見つめていきます。