桑原金作さんから最後の「桑原コレクション・今晃のこけし」が届きました。桑原さんは、89歳にもなられ、最近、体調を崩され、施設に入所されています。最後まで所蔵されていた今こけしの全てを私に譲渡されました。ここでみなさんに公開させていただきます。
桑原さんにはこの今こけし群を残して、全ての今こけしを譲っていただきました。(詳しくは、HPの「今晃のこけし」―今晃こけし・坂入コレクション解説―をご覧ください。)そして、「(残された数十本の今こけしを)棺桶の中に持って聞く」と言っておられました。私は、奥さんに「棺桶の中には1本にして、他のこけしは全部、私に送ってください」と頼み、「はい、分かりました」と、三人で笑い合ったものです。桑原さんは「1本とも、なくするのは絶えられない」と、施設入所を機会に送ってこられたのです。
桑原さんとの出会いは、平成21年、清俊夫さん(HPの「今晃さんのこけし」をご覧ください。)から紹介をしていただき、お会いした。その経緯は、こけし手帖(平成22年9月号)596号「桑原コレクション・今晃こけし群を引き継ぐ」で報告しました。桑原さんには、今晃こけし3000本余の「今晃こけし・坂入コレクション」の全てのこけしを解説した「今晃のこけし」―今晃こけし・坂入コレクション解説―を書いていただきました。みなさんには、HPのそれら各項目の内容が入力されたCDを無料でお贈りしていますので、ご希望の方はHPの「お問い合わせ」からご連絡をください。
今回、送っていただいた今こけし群の数本(*印)は、製作中の「木おぼこ・今晃」―今晃こけし図譜Ⅱ―に掲載します。その他のこけしは、来年1月からのヤフオクに出品して、みなさんに頒布をしますのでご覧ください。(ご希望の方はHPの「お問い合わせ」からご連絡をください。)
6寸、昭和58年7月19日作の署名「嶽温泉・今晃」の「D007」島津型黄胴笑い口・赤楓、「D0021」島津型黄胴笑い口・青楓、「D009」島津型白胴一文字口、「D005」幸兵衛型ロクロ線の同一手です。
伝統こけしにおいて、「伝統と創作」に矛盾を感ずる。「D007」は、大方、伝統のこけし「島津型」と言われるだろう。しかし、このこけしは島津型を今晃の独自の感性と構図で再構成、始造されたこけしで、今晃個人の創作であり、伝統という言葉表現とは少し違う。この島津型こけしはこれまであった島津型こけしの形から予想される表現ではない。今晃が古層の津軽を掘り下げ、現代が求める津軽の構想から生まれた、今晃の独創として初めて世に出たこけしであり、今晃の創作こけしと言うべきではないだろうか。(「今晃のこけし」より)
2.6寸、昭和58年6月25日作の署名「今晃」の「D014」本人型ロクロ線と青の葉、6月30日作の「D016」辰雄型重ね菊、「D012」金次郎型菊、「D018」伊太郎型、「D010」島津型赤楓の同一手です。(署名は「今晃」で、禰宜町時代と同一ですが、嶽に移住して、最初に作られた「ドンコロ」こけしです。)
6寸、昭和58年8月24日、署名「嶽温泉・今晃」の「D001」本人型笹竹・黄胴、「D002」本人型笹竹・白胴の同一手です。嶽温泉おみやげ用に制作されて、お店での販売をされたようですが、全く売れないで、清さんが全てを買い取り、桑原さんと所蔵されていたこけしです。
禰宜町時代作です。*「C078」6寸、58年4月16日作、伊太郎型ロクロ線・ヤツデ、「C063」3寸4月10日作、伊太郎型、「C051」3寸、5月10日作間宮型、*「M097」2寸、3月21日作エジコ、金次郎型花、「C079」6寸、3月30日、金次郎型重ね菊、「C080」2.5寸57年12月12日作、福太郎型ナデシコ、「C040」4寸、5月25日、間宮型、「C046」2.7寸3月20日作島津型ロクロ、「C081」3寸、4月25日作、金次郎型ボタン
*「E211」9寸、61年2月26日作、福太郎型菊(桑原氏退職記念)で、尺4寸2分の「E001」の同一手です。
「G257」4寸、平成3年8月6日作、五平型重ねボタン、「H347」平成1年2月23日作、2.5寸、本人型の同一手です。「C082」6寸、平成2年2月11日、辰雄風アヤメ(清俊夫氏退職記念こけし)
*「J054」3.6寸、平成5年8月14日作、ダルマ「J001」7.3寸のダルマの同一手です。
「H377」8寸と7寸、平成22年4月13日作、本人型笹竹、「G159」8寸、平成23年3月31日、金次郎型黄胴赤帯笑い口(坂入退職記念こけし)、「P004」8.6寸、平成26年10月10日、多兵衛型ロクロ線(図譜出版記念こけし)の同一手です。
6寸、平成23年6月24日、「G229」島津型白胴5本組の同一手です。