高橋通さんと純子さんから「坂入ボックス」のこけしが届きました。現在、お二人はこけし制作を休業されています。
平成23年3月11日の東北地震での福島原発事故で、南相馬市原ノ町で生活をされていたお二人は、現在も山形市旅籠町(「みちのくこけしまつり」会場のナナビーンズ近く)で避難生活をされています。 続きを読む
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秋の「坂入ボックス」
秋の「坂入ボックス」
今さんから秋の「坂入ボックス」のこけしが届きました。前回の「坂入ボックス」から2ヶ月です。今回は二人挽きロクロ作から、大舘での初めての機械ロクロ作もありました。多兵衛型にはロクロ模様に少しフリーハンドの模様が描かれています。また、私の好きな本人型が数本あり、嬉しいですネ。大舘で、新たな境地での大舘時代がはじまるようです。
こけし署名は、大舘に移住されてから、大舘初作の二人挽きロクロ作は「大舘晃」です。今回の機械ロクロ製作の大舘初作は、特徴のある署名「晃」になっています。嶽時代の署名「晃」は草書体でしたが、大舘での新たなる出立を署名でも表出されています。(今さんは、新たなる環境や心境の変化において、こけし署名もそれにあわせて替えてこられました。それらは今さんのこけし図譜「木おぼこ・今晃」の「こけし署名の変遷」で、各時代時代の署名を紹介しています。)
多兵衛型こけしや本人型こけし、木地玩具などは、各こけし注文者に配慮されて、形態や模様に若干の違ったものを作られます。「木おぼこ・今晃」のP317にある木地玩具、「N096の干支ヘビ」や「N085の干支ウサギ」などは、その例ですネ。その辺が今さんの心憎いところでもあります。
今さんの体調は、下半身の痲痺や痺れに、指はリュウマチ疾患のためか、指関節がかなり固まっており、多くのこけし制作には、まだまだ、体力的には大変なようです。しかしながら、嶽において、機械ロクロや木地を大舘に運んだ後、今冬期は鉈こけしや板絵、丸太を刻んだお雛様を作っておられました。(HPの「坂入ボックス」を参照)そして、手元にあったベアリングや機材で、二人挽きロクロを自ら製作され、奥さんに綱を引いてもらっての「二人挽きロクロ製作こけし」に挑戦されています。そして、大舘においての機械ロクロでの常寸こけし制作も開始されました。その弛まぬこけしへ製作への執着、意欲には、ただただ感服、敬服です。
「あるこけし店主の話」
4月の土湯こけしまつりから始まったこけし行事も、10月の津軽こけし工人フェしてバルで終えました。私はこの1年、4月に今晃さんのこけし図譜「木おぼこ・今晃」を発行してから、4月の土湯、5月は白石と友の会例会、6月は青葉こけし会30周年祝賀会、7月は美轆会、9月は鳴子、10月は山形と遠刈田そして津軽へと、全てのこけし行事に参加して、みなさんに図譜発行やHP立ち上げ案内パンフを配布してきました。
そして、多くのこけし愛好者や「コケ女」といわれる若い方々とも接してきました。鳴子こけしまつりや津軽こけし工人フェステバルでは、近来にない多くの方々がおられました。多くのこけしグッズのお店や展示されているこけしなどなど、何か、私がみる伝統こけしとは、チョット違う感覚がありました。そんな時、あるこけし店主から以下のような手紙をいただきました。
「あるこけし専門店主の話」
こけしマニヤの移り変わりに、ここ数年、大きな流れがあったと思うことが多いです。第三次こけしブームは、少々大袈裟にしても、マニヤが増えたことは喜ばしいことではありますが、明るい兆しとは言えないと考えています。私が最初の1本を買い求めたのが昭和49年の40年前、20代の頃です。当時、こけしに興味を持ち始めるのが40歳過ぎの男性でした。男性はマニヤになりますが、女性はこけし愛好家で終わり、のめり込む方が少ないと思います。男性は夢中になって買い漁りますが、女性は堅実でどこか醒めています。
ここ数年に増えた方々は女性の20代、30代の愛好家で、部屋で飾るこけしが何本かあればいいと考えている方が多いです。今の若い方の特徴は、4つの「ない」だと話をしています。
1,数多く買わない。(せいぜい、1,2本。携帯で写真だけを撮って帰る方もいます。)
2,古いこけしは買わない。(中古品こけしには興味を示さなく、1000円前後が多く、せいぜい 3000円止まりです。)
3,大きいこけしは買わない。(7寸以上を買う人は少ない。私などは尺以上が大きなこけしと言っていましたが?)
4,こけしの文献を読まない。(可愛い、小さなこけしに興味があるのであって、こけしの事には関心がありません。)
当店に来られた若い方で、尺以上のこけし、こけし本に触る(見る)方は本当に少ないですね。現在は、伝統こけしらしいこけしは売れません。作並や山形は、以前から人気がありませんが、鳴子や遠刈田のこけしも、人気は全くありません。「人は増えましたが、明るい兆しじゃない」と言いましたのは、伝統こけしが求められない、何か、異質なもの(こけし)を若い方は求めていると思うからです。
こけし工人には日々の生活がありますから、売れる物を作ることは、止むを得ないと思っていますが、厳しいことでもあります。敗戦後の20~30年代は、アメリカナイズがもてはやされ、伝統こけしは全く売れず、新型こけしブーム時代がありました。そこからの伝統こけしの脱却と再起は、先覚者達の尽力がありました。その状況は今と良く似ています。そのような第三次こけしブームといわれる新型風のこけしが売れるのも近々終えるものと思います。その次がどうなるか?!さらなる、伝統こけしの低迷期が訪れ、伝統こけしも消え去ってしまうのかと、大いなる危惧をしています。
「6」 「こけし・工人似顔絵図譜」ー青森県編ーがヤフオクに出品!
今、ヤフオクに「こけし・工人似顔絵図譜」ー青森県編ーが、11月2日締め切りで出品をされています。数年前、大枚をかけて150部を自費出版しました。みなさんには無料で頒布したのですが、この様にヤフオクに出品されるとは、驚きですネ。私の所には2部しか残っておらず、私が落札したいほどです。 続きを読む
「7」 津軽行・図譜出版祝賀会
10月17日~20日、最後の津軽行でした。17日早朝5時30分出立。9時間運転をしながら、図譜を発行してからのこの半年、各地のこけし行事に全てに参加し、図譜発行やHP立ち上げ案内をしてきた。そして、今さんに初めて出会った「2006年10月18日、夕方、嶽温泉今さん宅に着く。坂道を自転車で下りてくる今さんに出会う。お互い似顔絵で顔見知り『今さんですか?』『坂入さん?」』いうことになり工房におじゃまする事(『2006年こけし蒐集・津軽の旅』参照)」に、桑原金作さんに出会い、今こけしを譲っていただいた事(「こけし手帖596号「桑原コレクション・今晃こけし群を引き継ぐ」参照)などなどが、今までのいろいろな思いが走馬燈のように浮かんでくる。 続きを読む
「13」 「大舘に、今晃さんを訪ねて」 中根巌(大阪こけし教室機関誌「山河」268号掲載)
。 先日(10月3日~6日)、「山形みちのくこけしまつり」に出かけて行き、遠刈田ロクロこけしまつりや懇親会、そして、弥治郎を廻って来ました。弥治郎こけし村の吉紀さんと真由美さんの工房で、鳴子で修行中の故小島俊幸さんの娘さんにお会いした。津軽にまたまた、新人工人さんが誕生か!
3日夜は、休業中の高橋通さんと順子さんご夫妻と夕食を共にした。審査会場では、審査員の箕輪新一さんや国府田恵一さん、そして、渡部圭吾さん、中根巌さんともお会いできた。今晃さんのこけし図譜「木おぼこ・今晃」の制作、発行については、みなさん方々には、いろいろとご教授や励ましをいただき感謝をしています 続きを読む
「3」 木の実さんと今さんのこけし
阿部木の実さんは、現在(9月25日~10月1日)、新宿京王百貨店で個展を開催されています。また、 Kokeshi Wiki」(http://kokeshiwiki.com/?p=954)「に「阿部木の実」が掲載されました。そこには、「ただ新考案の木地人形を作り続けると、伝統こけしの生命力のある強さに魅かれて無性に作りたくなり、伝統こけしを作り続けると、新しい意匠が次々頭に浮かんで堪らなくそれを作りたくなると語っていた。伝統と新考案とは木の実にとって車の両輪のようなものなのであろう、いずれが欠けても成り立たないのかもしれない」と書かれている。
今晃さんの本人型(新意匠)こけしをみるときにも、同じような思いがあります。今晃さんのこけし図譜「木おぼこ・今晃」の「今晃さんのこけし遍歴」には、以下のように書いた。
現在においては、これら本人型を含めた今晃さんのこけしを「こけしの美として共通の確信として評価していくこと」が肝要である。この件について、今さんからの手紙(平成22年2月)には「今晃がこれからどう評価されるかは分かりませんが、取り敢えず、作ったものが残ってきました。勝負はこれからと思っています」とありました。「穏やかさの中に、並々ならない決意と自信か」と思います。自分の歩んできた道を自負され、これからも絶えない意欲を示されていました。現在を蒐集している私達にとっては「頼もしい、期待すべき一言」です。
この件に対して、橋本正明さんにご意見を求めたところ、(平成25年3月)ホームページ「木人子室(ぼくじんししつ)」―こけしの文化史―(4)「こけしの世界の物語」を明示された。そこには「フッサールの万人の主観と一致する客観などはない。主観をもとに多くの人がそれを言葉で交換しあって、共通の確信に到ったものが客観とか真理とか呼ばれるものだ」などなどのポストモダンの思想を示され、その概念からの(伝統)こけしにおける呼称の変遷を示される。そして、「、、、、我々の向こう側に客観的な『こけし』と呼ばれる対象があるわけではない。多くの人、多くのこけし愛好家でもいい、その人たちがあれは『こけし』だと『共通の確信』を持ったものが『こけし』だ。したがって、多くの愛好家の世代が移っていけば、それも変わりうるだろう。例えば、今晃の新意匠のもの(本人型=創作伝統こけし)、阿部木の実の新意匠のもの、あれは実に魅力的なものだ。」と結ばれている。
橋本さんからのお返事には 「今晃の新意匠こけしが伝統こけしか、『完璧な純粋こけし』か、言い方はいろいろですが、こけしの世界の概念については、以前HPに書いた以上のことは特にありません。坂入さんが『これがこけしだ.』と主張することは大いに結構なことで、それをサポートする人が多くなれば、それが世の中の『共通の確信』としての『こけし』になると思います。そうした『共通の確信』で支持される以外に、言い換えればその外側に『真理として完全なこけし』と言うものがあるわけではありません。以前、土橋さんは『こういうものが伝統こけしだ』と『完璧なこけし』をいろいろ言いましたが、それは彼個人の夢でしかありません。今さんの『新しい挑戦している(新意匠)こけし』も、これはまだ自分のこけしの感覚とは違うという人が多いなら、こけしの外側の何か別の形容詞がつくこけしに留まるでしょう。坂入さんのように『こけしとしかいいようがない!』という人たちの『共通の確信』が形成されれば形容詞なしのこけしでしょう。いづれにしても自分からメッセージを発しない限り『共通の確信』は生まれないのですから、坂入さんのお考えで図譜を完成させるのは重要です。支持者がでてくるか、批判者がおおいか、それは新しい世界を展開させるために必要な関門なのですから。」とありました。
「4」 津軽のこけし
先日、ヤフオクに、凄い古品こけしが数十点出品されていた。それぞれが、数十万円から100万円前後で落札されていた。その中で、上記の盛秀こけしが4点(細身の亀模様は2本出品、右端は参考の昭和33年作)あり、各200万円前後で落札された。 続きを読む
「5」 坂入ボックスと似顔絵
9月に送られて来た「坂入ボックス」のこけしです。HP「坂入ボックス」に掲載したいのですが、編集が未熟で、習得中です。近いうちに、全てを公開していきます。機械ロクロでの制作はまだまだのようで、奥さんに綱を引いてもらっての二人ロクロで、小寸こけしを作っておられます。 続きを読む
「1」 HP「木おぼこ・今晃」の紹介
HP「木おぼこ・今晃」を立ち上げ、みなさんにお届けすることができました。ぜひ、ご覧になってください。
掲載内容は、
・「木おぼこ・今晃」ー今晃こけし図譜ーは、26年4月に発行した図譜のダイジェスト判です。ご購入希望の方は、HPの「お問い合わせ」から、ご連絡ください。 続きを読む